キャットフードの成分表の見方を詳しく解説!

本を見る猫とキャットフード

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キャットフードのパッケージを見て、 
「成分表になぜ炭水化物がないの?」 
「成分表の粗ってなに?」 
「△%以上、□%以下ってどれくらい入っているの?」 
などと疑問に思ったかたが多いのではないでしょうか?
確かになんの説明もないまま成分表を見ても、見方がわからないのは当然だと思います。
そこでこの記事では「成分表の見方」や、「栄養素が体でどんな働きをするのか」を詳しく解説しました。 
キャットフードを選ぶうえで、成分表の見方や栄養素の働きを知っていると、フード選びに役に立つので、ぜひ読んでみてください。

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管理人
kiki

ペットフード販売士の資格と、人間の栄養士の資格を持つ動物好きです。
特に猫と猛禽類が大好き。
キャットフードについて発信しているので、フード選びの参考に読んでみてください!

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成分表では5つの成分を記載することが定められています

ペットフードのパッケージに記載されている成分表は、ペットフード公正取引協議会により、下記の成分の記載が定められています。

成分の表示は重量百分比とし、次のとおり記載するものとする。

たんぱく質・・・ %以上
脂質・・・・・・ %以上
粗繊維・・・・・ %以下
灰分・・・・・・ %以下
水分・・・・・・ %以下

上記成分の分析方法は、農林水産省消費・安全局長の定める飼料分析基準又はこれに準ずる国際的検査基準による。
なお、「たんぱく質」は「粗たん白質」、「脂質」は「粗脂肪」、「灰分」は「粗灰分」とそれぞれ記載できるものとする。

出典:ペットフード公正取引協議会「ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則」(必要な表示の基準)(6)成分
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ペットフード公正取引協議会とは
景品表示法に基づいて、ペットフードの表示と景品類の提供に関して規則を作り自主的な運営を目的として活動する任意団体です。
日本国内で販売されるペットフードの90%以上は、会員社でカバーされており、ほとんどのペットフードがこの表示をしています。

なぜ炭水化物の記載がないのか

炭水化物の表示がないのは『ペットフードの表示に関する公正競争規約』の成分表示方法に、炭水化物の表示がないからです。
なぜ表示がないのかは、AAFCOが推奨する基準に炭水化物がないためだと考えられます。

キャットフードに含まれている炭水化物量の計算方法

成分の表示は重量百分比で表示されているので、下記の計算方法で炭水化物量は求められます。

重量百分比とは、重量百分比で表示したもの(たんぱく質、脂質、灰分、水分、粗繊維)をたすと100%になるということです。

たんぱく質、脂質、灰分、水分、粗繊維をたしても100%にはならないので、そのたりない分が炭水化物量になります。

炭水化物% = 100 -( たんぱく質% + 脂質% + 灰分% + 水分%)

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粗繊維をたさないのは、炭水化物に粗繊維が含まれているからです。

成分表に書かれている粗の意味は?

成分の測定は、目的の成分だけを測定することが難しいため、少し他のものも混ざって測定しています。
測定方法は人間の食品分析方法と変わりません。
ではなぜペットフードの成分表には粗が付いているのかというと、ペットフードは栄養成分を保証するという観点から、おおまかな数値という意味ではなく、栄養成分の表示についての分析上の精度を「粗」で示しています。
おおよそ、その栄養成分としてもよいという意味なので、粗たんぱく質=たんぱく質として考えて問題ありません。

他のものとは
  • 粗たんぱく質
    純粋なたんぱく質以外にアミノ酸やアミン類も同時に測定される
  • 粗脂肪
    脂肪の他に脂肪に溶解しているビタミンや他の成分も測定される
  • 粗繊維
    酸やアルカリに溶けないケラチンのようなものも測定される
  • 粗灰分(そかいぶん)
    キャットフードを燃やして灰にして、その灰の量を測定するため、その灰の中には純粋なミネラルや酸化物も含んでいる

引用:ペットフード公正取引協議会 1.ペットフードの製造について 1-2.ペットフードと食品との違い

保証分析値と乾物量分析値の違いについて解説

保証分析値とは、フードの水分を含んだままの栄養素量のこと。

乾物量分析値とは、フードに含まれる水分を除いた栄養素量のことです。

キャットフードのパッケージに書かれている成分表に、「保証分析値」と「乾物量分析値」と書かれており、△%以上や□%以下などと書かれています。

ペットフードの成分表が%で表示するのは、栄養バランスを重視しているからです。
また、「以上」や「以下」で示しているのは、栄養成分を保証しているという意味です。

成分名表示方法意味
粗たんぱく質
粗脂肪
△%以上最低でも△%以上は
入っています
栄養素として重要な成分
成分名表示方法意味
粗繊維
粗灰分
水分
□%以下最大でも□%以下
は入っています
保証値より多いとフード全体のカロリーが低下したり、一定の栄養素を摂取できなくなることがある成分

保証分析値と乾物量分析値の2種類あるのは、栄養素の比較をしやすくするため

AAFCOが推奨する基準値は、乾物量分析値で記載されているのに対し、キャットフードのパッケージに記載されているのは、保証分析値で記載されているものがほとんどです。
それはなぜかというと、フードの栄養成分の比較をするには、乾物量分析値のほうが比較しやすいからです。

分かりやすく例えると、下記のフードのたんぱく質の保証分析値を乾物量分析値に変換すると以下のようになります。

ドライフードウェットフード
たんぱく質45%以上10%以上
水分10%80%

乾物量分析値の計算方法

乾物量分析値=
成分%÷(100-水分%)×100

ドライフードの乾物量分析値

45%÷(100-10%)×100=50%

ウェットフードの乾物量分析値

10%÷(100-80%)×100=50%

保証分析値ではたんぱく質の含有量が違って見えましたが、乾物量分析値だと同じ含有量なのが分かります。
水分はもちろん体にとって重要な役割がありますが、栄養素の成分を見るには水分は重要ではないため、水分を除いた乾物量分析値で比較することが大切です。

各栄養素の働きを解説

栄養は密接に関係しあい、バランスよく摂らないと意味がありません。
多く摂っても、少ない量の栄養に基準を合わせてしまうため、結局多く摂った栄養は、体外へと排出されたり、体内に蓄積されてしまいます。 

栄養はバランスよく摂ることが大切です! 

猫ちゃんの健康維持のためには、各栄養素が体内でどんな働きをするのかを知ることがとても大切です。 
覚えるのは大変ですが、少しでも知っておくとフード選びに役立ちます。 

たんぱく質の働き

たんぱく質は約20種類のアミノ酸で、構成された集合体です。 

アミノ酸には必須アミノ酸があり、これは体内では合成できず、食物からしか摂取することができません。

猫に必要な必須アミノ酸は11種類あり、この必須アミノ酸が1つでも不足してしまうと、生きていけなほど大切なものです。
また、猫に必要とする必須アミノ酸の「タウリン」は、動物性タンパク質(肉や魚)からしか摂取できません。

たんぱく質の体内での働き
  • 被毛、皮膚、筋肉、ホルモン、抗体等、体内の様々な組織を構成する 

  • 組織の成長、修復、補充のために必要

  • エネルギー源にもなる 

「良質なたんぱく質」とはどんなたんぱく質のこと?

よく「良質なたんぱく質」と聞くと思います。 

良質なたんぱく質とは、必須アミノ酸がバランスよく含まれているかを、アミノ酸スコアと呼ばれる栄養評価方法で判断し、必須アミノ酸の割合が基準値に対して、100%に近いほど良質とされています。 

また、このアミノ酸スコアが高いと、消化率も高いです。

アミノ酸スコアが高い食品には肉や魚、卵、乳製品、豆腐などがあります。

脂質の働き

  • おもなエネルギー源になるため、過剰摂取すると肥満になるので注意。
    脂肪(8.5カロリー/1g)>炭水化物(3.5カロリー/1g)=たんぱく質(3.5カロリー/1g) 

  • 脂溶性ビタミンの吸収率を上げる

  • 体から水分が失われるのを防ぐ 

  • 細胞膜を維持する 

  • 細胞の老化を防いだり、内臓の機能を調節あるいは、活性化させる物質を合成する 

  • 脂質には必須脂肪酸(食物からしか摂れない)が含まれていて、猫に必要な必須脂肪酸の、アラキドン酸」は肉や魚からしか摂れません。
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必須脂肪酸が欠乏すると、脱毛、被毛が乾燥して艶がなくなる。
また、傷が治りにくくなり、湿性皮膚炎や生殖機能の低下等の症状が引き起こされます

炭水化物の働き

炭水化物は「糖質」と「食物繊維」で構成されている。

糖質の働き

炭水化物の分類

糖質は単糖の結合数によって、わけられています。

  • 単糖類
    (結合数1~2)
  • 小糖類
    (結合数3~9)
  • 多糖類
    (結合数10以上)

炭水化物は消化酵素によって、単糖に分解され、肝臓でエネルギーになる。
また、エネルギーとして使われなかったグルコースは、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして貯蔵されます。 

必要におうじてグルコースに分解して利用され、あまった分は脂肪に貯蔵される。

 脳や神経系、赤血球はグルコースのみをエネルギー源とするので、糖質も猫にとって必要な栄養源です。

食物繊維の働き

食物繊維は腸内細菌のエサになり、腸内環境を整えてくれる。

食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類あり、バランスよく摂らないと、便秘や軟便になりやすいので注意しましょう。

不溶性食物繊維が多いと、便が硬くなり便秘になりやすい。
水溶性食物繊維が多いと、軟便になりやすい。

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食物繊維は摂りすぎると胃酸を低下させ、栄養素を吸着して便中に排泄してしまうので、摂り過ぎには注意が必要です。

不溶性食物繊維 

不溶性食物繊維は消化されないので、胃の内容物のカサ増しになり、水分を含むとさらにカサが増すので、満腹感を感じやすくなる。 

消化器官のぜん動運動を刺激し、排便の促進や便の形成、腸内にある毛などの排泄にも役に立つ。 

ぜん動運動とは、胃や大腸などの消化管が食べ物などを送るために、伸びたり縮んだり収縮する動きのこと。

水溶性食物繊維の働き
  • 水溶性食物繊維は水を吸ってゲル状になり、消化器官などをゆっくり通過するので、糖の吸収を緩やかにして、血糖値の急上昇を抑制する。

  • 水溶性食物繊維を子猫期に適量摂っていると、腸粘膜の厚みを増し、消化吸収能力の発達に役立ちます。

  • 水溶性食物繊維が腸内で分解され、短鎖脂肪酸を作り腸内粘膜の再生に役立つ。 
    また、短鎖脂肪酸が腸の粘膜上皮細胞から、エネルギーとして吸収される。

灰分(ミネラル)の働き

灰分(かいぶん)とは、食品が燃え尽きた後に残った鉱物質(ミネラル)のこと。
ミネラルとは、カルシウム、リン、マグネシウムなどです

カルシムやリンを多く摂ってしまうと、骨からカルシウムが流れでてしまい、その流れでてしまったカルシウムが腎臓から排泄されます。
カルシムやリンを多く摂ってしまうと、逆に骨を弱くしてしまい、腎臓にも負担がかかってしまうので注意が必要です。 

尿石症の原因となる、カルシムとリン、マグネシウムのバランスですが諸説あり、どの比率が最適なのかは明確にはわかりません。 
ほとんどのフードが、下記の3パターンのどれかの比率を基に作られています。
今あたえているフードがどの比率なのか確認し、新しくフードを選ぶ場合は、あたえているフードの比率のものをあたえることをオススメします。

カルシウム1:リン0.8:マグネシウム0.08

カルシウム1.2:リン1:マグネシウム0.08

カルシウム1.5:リン1:マグネシウム0.08

ミネラル 働き
カルシウム 骨や歯を形成 
筋肉、神経の健康維持に役立つ
リン骨や歯を構成 
エネルギーの生産 
マグネシウム 酵素の活性化に役立つ 
カリウム 体液均衡の維持、
神経刺激の伝達、
筋肉機能の調整
ナトリウムと塩素 体液均衡の維持、
神経刺激の伝達、
胃酸の産生
鉄 酸素運搬
亜鉛 皮膚の健康維持、
免疫機能に関与
銅 ヘモグロビンの合成
ヨウ素甲状腺ホルモンの合成
セレン 抗酸化作用 
マンガン 酵素の構成成分
ミネラルの働き一覧

水分の働き

  • 体内の水分を15%失うと死んでしまうため、最も重要な栄養です。

  • 水は栄養素などを運んだり、体温をコントロールしたりする。 

  • 消化や血液、リンパ液、細胞中の主成分になっている。 

  • 水の必要量は体重1kg当たり、約50mlを必要とする。

  • 猫ちゃんは必要な水分量の約70%を確保できていれば、のどの渇きを感じないとされており、そのため、あまり水を飲まないと考えられています。 
    水をたくさん飲むのはいいことですが、一度にたくさんの水を飲んでしまうと、水中毒になってしまうので、こまめに飲んでもらうようにしましょう。
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「猫は飲水量で健康寿命が決まる」とまで言われるほど、とても重要な栄養です!

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この記事がフード選びの参考になったら嬉しいです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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